全長4500mm前後、全幅1700mm前後、取り回しがよく安全性と信頼性に優れ、希少性も持ち合わせる事

何のこっちゃって感じのタイトルですが、これはある友人の家の次期自家用車に課せられる条件です。
彼の家には何台か車があるのですが、そのうちの1台がそろそろ代替になるかも知れないのだとか。
現在の車は2000年式のトヨタプログレNC250。メインユーザーは彼の母親だそうです。
タイトルに挙げた条件というのは、このプログレがほぼ満たしている条件でもあります。


軽くプログレという車の解説を。
1998年にトヨタが発売した、当時としては全く新しい小型高級車です。
最大の特徴は、2.5リッターと3リッターの2種の直6エンジン、本木目や本革を用いた高級な内装、
高い静粛性、高級車の定番であるFRの駆動方式などなど高級車としての要素を全て満たしながら
ボディサイズを5ナンバーサイズ枠内にほぼ収めていること。
つまり、日本国内で一番扱いやすいボディサイズで高級車を作るというコンセプトの車です。
実は我が家でも数年前にこのプログレに乗っていた事があり、
車としての出来はかなり良かったと記憶しています。
今見てもかなり意欲的なコンセプトだとは思いますが、
エクステリアが今ひとつパッとしない感があるのも災いしたのか、
残念ながらこの車が大ヒットを収めることができる市場はありませんでした。
その後も密かにマイナーチェンジされたりしてはいますが、
市場からもメーカーからも半ば放置された状態で細々と今も売られているという、
歴代トヨタ車の中でも屈指の不遇な車種となっています。その地味さ、まるで桃瀬くるみ(ぉ*1


さて、タイトルに挙げた条件は彼の両親が互いに譲らないポイントだとか。
具体的には、ボディサイズと取り回し、信頼性が母親の重視する点で、
安全性と希少性が父親の重視する点だそうです。
彼の証言によれば、母親の条件を満たすと国産中級車以上の大半と輸入車全般が脱落し、
父親の条件を満たすとリッターカー以下全般と国産車の大半が脱落するとのこと。
プログレは当時、これらの条件をほぼ完璧に満たす唯一の車だったようです。


で、この条件でちょっと車を探してみたのですが、今新車でこれを満たす車って意外とないんですね。
希少性はあくまでも趣味の問題なので除外し、
普通車ならどれも安全性は十分だと思うのでそれもあまり考慮しないで探したのですが、
意外にネックになったのがボディサイズでした。
そもそも、私のレガシィB4ですら全長は4600mm超、全幅も1730mmありますし、
現行の中型以上のセダンはどれも3ナンバーサイズが主流。
それ以下のクラスにしても、ヴィッツやマーチといった本当のコンパクトカーを除くと
既にアクセラシビックが全幅オーバーで脱落。カローラ、プレミオ/アリオン
ティーダ、シルフィといった辺りでしか探す事ができません。


彼の証言ですが、彼の実家の近所でプログレに乗っていた人は
みんな前期型から後期型のプログレに買い換えたそうです。
プログレのコンセプトが欲しい車に合致したものの、
他に同様の車は出ないしプログレもいつまで経ってもモデルチェンジしないということで
苦肉の策だったようです。最近の車はボディサイズが大きくなる傾向にありますが、
世の中にはプログレのコンセプトがまさに当てはまる車を望む人もいたわけで、
あの車を上手く育てられなかったのは、もしかしたら自動車の世界の大きな損失だったのかも知れない…。
と言ったらさすがに誇張しすぎでしょうが、5ナンバーにキッチリ収まる車が消えていくのは
やっぱり問題なのかもしれない、と考えてみたり。

*1:最近「ぱにぽに」にハマりっぱなしなのです。芹沢茜がお気に入り