8月13日:ゼロクラウン

父と母と3人で、母の実家へ日帰りで出かけました。
お盆のこの時期は高速道路は半端じゃなく混むので、
新幹線+レンタカーの組み合わせで行きました。
レンタカーは当初アテンザかミレーニアが充てられるという話だったのですが、
その後紆余曲折あって(?)トヨタ車の代名詞クラウン、
それも最新型の通称「ゼロクラウン」が充てられる事になりました。
駅レンタカーの事務所前で受け取った車は白の2.5ロイヤルサルーン(2WD)。
2.5リッターの4GR-FSE型直噴V6エンジンを搭載しており、
クラウンロイヤルの中では下から2番目のグレードです*1
駅レンタカー事務所から近くの菓子屋までは親父が運転。
まず驚いたのはその静粛性。トヨタの高級車の静粛性は世界トップレベルと聞きますが、
まさしくその通り。ここまで静かじゃなくてもいいのにというくらいの静寂さ。
乗り心地もしっとりソフト。普段スポーツサス+扁平タイヤな車に乗っているので
余計にその差が大きく感じられます(笑)
外見は過去のクラウンと大きく変わりましたが、内装は良くも悪くも相変わらず。
ベージュっぽいシートカラーに、これでもかと貼られた木目調パネルの組み合わせは
お世辞にも趣味がいいとは感じられません。もっとも、質感自体は非常に高いです。
カップホルダーや灰皿の蓋を開けてみると、ダンパーでも付いているのか
やたら滑らかに開きます。これがトヨタ流のおもてなし?
そもそもこの2.5ロイヤルサルーン、下から2番目のグレードといっても
必要以上の装備が揃っていますし、値段も357万円位します。やっぱりクラウン、高級車。
最初の目的地である菓子屋につきましたが、そこで親父は飽きてしまったらしく、
それ以降は私がクラウンのキーを預かることに(笑)
最近流行りのインテリジェントキーシステム。キーをステアリング脇の
スロットに差し込み、ブレーキペダルを踏みながらスターターボタンを押すと
エンジンが始動します。ゲート式のATセレクターの操作感もやけに滑らか。
いざ発進、とアクセルペダルを踏んでみます。が、反応なし。
少し大きめに踏んでみると、今度は唐突にスロットルが開いてグワっと加速。
アクセルペダルの踏み始めが不自然に重く、
さらにスロットルバルブもいきなり開く設定の模様。
ブレーキは踏み始めの食いつきが思ったほど良くなく、効き自体も並といったところ。
電動パワーステアリングトヨタの常でやたらに軽く、センター付近のフィールが曖昧で、
大きく切った後の戻りはやや人工的な反発が強すぎる感も。
乗り心地はいいし不整路面でも不快感はカットしてくれるのですが、
ステアリングに伝わるフィールはそこまでカットしなくても…。
ただし、路地のような場所ではこの軽いステアリングは
片手でグリグリ回せるので非常に楽でした。
滑らかな路面で真っ直ぐ走る分には、ヨコハマDNAデシベルというタイヤにも助けられて
異常なまでの静粛性と滑らかな乗り心地、出来のいい5速ATのおかげで非常に快適。
かつてのクラウンのようなただ柔らかいだけのサスペンションではなく、
当たりが柔らかく、かつしっかりとダンピングが効いた乗り心地なので
少々の不整でも全く乗り心地は損なわれません。
ただし、かなり荒れた路面ではサスの動きが悪いのか何なのか
ボディの動きと脚の動きに統一感がなくバラける感じ。
また、速度によっては多少ダンピングが不足する場面も。
ボディの剛性感も荒れた路面では今ひとつ物足りない気がしました。
もっとも今回のレンタカーは26000km走った個体でしたので
ヤレも考慮に入れてやる必要はありますが。
エンジンはパワー&トルク共に余裕で、いざ踏み込めばトップエンドまで十分吹けるし
その際も不快なノイズが高まったりする事はありません。
また燃費もよく、エアコンをガンガン効かせたまま
ちょっとした混雑に巻き込まれたり山道を走ったりしても平均は10.4km/Lでした。
後は基本的に印象に残っていないのですが、
中央のエアコン吹き出し口は自動で左右にスイングする機能が付いており、
これは使ってみると便利で「結構いいな」と思ってしまいました(笑)


静かで広くて、十分速くて、乗り心地も良くて、いろいろ付いてて燃費も良くて、
何よりクラウンというネームバリューは絶大。
大きすぎないから取り回しも悪くないし、
都市から田舎まで日本の風景に異様なまでにマッチするその佇まい。
日本で乗る車としてこれ以上のものはなかなかないでしょう。
まさに日本のために造られた日本の車といった趣です。
いい車だと思うし、不満なんて持ちようがないはずなんですけど、
それでも、ステアリングやアクセルペダルのタッチとか、
そういうドライバーと車を一番密接に繋いでいる部分のフィールをもっと磨けば
更に素晴らしい車になったのではないか、そういう気がしてしまいます。
現状では、積極的に操る楽しみが残念ながら希薄に感じました。
アスリートならもう少しその辺も改善されているのかもしれませんが、
いずれにしてもドライバーズカーとしてはまだ不十分かな、という気がします。
でも、私が車好きでもなんでもないおじさんだったら、
あるいは都内で個タクの運転手をやっていたら、
ゼロクラウンを選んでいたかもしれません(笑)

*1:2.5としては上級