トランスミッションのこだわり

id:Versteck氏の限定解除話から発展して一瞬盛り上がりを見せたトランスミッション談義。
ちょっと時間が経ってしまいましたが、皆さんから寄せられたコメントなども考慮して
もう少しばかり私の思うところを書かせていただきます。


今まではトランスミッションと言えばAT(CVT含む)かMTかの2択といってもよかったのですが、
最近はMTを基本にクラッチ操作を自動化し、さらに一部ではそれに自動変速機能を付加した
2ペダルMT、セミATなどと呼ばれるトランスミッションを採用する車も増えています。
たとえばBMWSMGフェラーリのF1マチック、アルファロメオセレスピードなど。
国産車でいえばトヨタMR-Sにシーケンシャルの設定がありますし、
古くはいすゞ・アスカに採用されていたNAVI5というトランスミッションもありました。
VM/アウディの一部車種に搭載されているDSGは
これらの2ペダルMTを更に進化させたものといった感じです。


これらのうち、私はE46型M3のSMG2とアウディTTのDSGしか体験した事がないのですが、
いずれもMTのようなレスポンスはそのままにクラッチペダルを省く事で
シフト操作時の負担を大幅に低減しており、同時に人間には到底不可能な
一瞬のシフトチェンジ(しかもほぼショックレス)をも実現しています。
BMW M3の軽量バージョン「CSL」などはトランスミッションSMG一本に絞っていたし、
単純に速さという点でもこれらはMTを凌いでいるはず。
さらにこの2者は自動変速モードも兼ね備えており、
自分でシフトするのが億劫な時には変速の全てを機械にゆだねる事もできます。
SMG2のオートモードは率直に言って洗練度に欠けるきらいがありますが、
DSGでは通常のトルコン式ATに遜色ないスムーズなシフトチェンジが行われ、
まさにATとMTの良いとこ取り。強いて言えば重量がかさむのがネックといった程度です。


このように、とくにDSGは理想のトランスミッションと言えます。
が、個人的にはそれでもまだ3ペダル式の古臭いMTに後ろ髪を引かれる思いがあります。
MTはの楽しさはレスポンスが良くて自分で変速するからというだけではなくて、
シフトノブやクラッチペダルから伝わってくる微妙な感触もそれを形成していると思うからです。
クラッチペダルがない事こそ2ペダルの売りですし、
最近の2ペダルMTはシフトパターンも単純化されていて
より確実に操作しやすくなってはいますが、
それゆえに失われる「何か」もまた無いわけではない、と。
これは当然と言えば当然で、クラッチペダルがなくなればそこからの情報は当然得られませんし
シフトもパドルなどから電気信号を送るような形ではダイレクトな感触は来ません。
言うなれば、自分と車の間に挟まってるものが一番少なく、
自分と車を繋ぐ部分が一番多いのが3ペダルMT車といったところでしょうか。
免許を取って2年足らずの私はまだ単純に車に乗るのが楽しくて仕方ない時期であり、
より多くの操作を自分でしてみたいとか、車とより近い距離で接したいとか、
そういう思いが強いのかもしれません。玩具の可動部分が多いと嬉しい子供と同じかも(笑)
まぁそんなところで、理想的なのはDSGみたいなトランスミッション
だけど一番好きなのは?と聞かれれば、今の私なら3ペダルのプリミティブなMTと答えます。
「優れているものと好きなものは違う」、ってことで(笑)
もう少しオトナになったらAT車や2ペダルMT車に落ち着くのかもしれませんが、
環境が許す限りはまだ当分3ペダルのMTでいきたいと思ってます。