福知山線で重大事故発生

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死亡51人・負傷417人、まだ車内に多数の乗客
 
 25日午前9時20分ごろ、兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口―尼崎駅間で、宝塚発同志社前行き快速電車(7両)の前5両が脱線し、1、2両目は線路脇のマンションに激突、大破した。

 電車には乗客約580人が乗っており、尼崎東署によると、同日夜までに乗客計51人の死亡を確認、負傷者は417人に上っている。

 1、2両目には、多数の乗客が閉じ込められ、夜になっても1両目の救助活動が続いている。

 死者数は、1991年5月、滋賀県で起こった信楽高原鉄道での事故の42人を上回り、平成に入って最悪の鉄道事故となった。

 県警によると、男性27人、女性24人の死亡が確認された。事故現場には、応急処置をするテントも設営され、ガラスの破片が刺さったり、服を血で真っ赤に染めたりした乗客らが担架で次々と運びこまれ、計33病院に搬送された。

 電車は非常ブレーキをかけた後に脱線。1、2両目が線路東側にあるマンション「エフュージョン尼崎」(9階建て、47室)北側の立体駐車場をなぎ倒したうえ、マンション1階に激突し、折れ曲がった。

 尼崎東署によると、午後6時30分現在、レスキュー隊員が2両目の乗客を運び出し、さらに1両目の車内で4人の生存を確認。しかし助け出す経路が確保できず、スポイトで水を与えているという。「1両目には少なくとも6、7人いる」との情報もあり、高見隆二郎運転士(23)も車両内に閉じこめられているとみられる。

 県警や同社によると、快速電車は現場手前の伊丹駅で約8メートルオーバーランし、バックして停車。約1分30秒遅れで運行していた。

 現場は右カーブで、制限速度は時速70キロ。県警の聴取に対し、快速電車の松下正俊車掌(42)は「いつもより速度が出ている感じがした」と証言している。

 高見運転士は、運転歴11か月。

 JR西日本垣内剛社長は午前11時15分から、大阪市北区の本社で記者会見。「被害に遭われたお客さんのことを考えると、鉄道事業者として申し訳ない」と陳謝した。
(読売新聞) - 4月25日22時48分更新
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とんでもない事故が発生してしまいました。
まさか2005年という時代にもなってこんな重大な鉄道事故が発生しようとは。
犠牲者数で言えば、1963年の鶴見事故以降に発生した国内の鉄道事故では
北陸トンネル列車火災や信楽高原鉄道正面衝突を抜いて最多という事になります。
JR発足以来最悪の事故でもあり、今後の鉄道史に悪い形で残ることでしょう。


原因については様々な見解が出ていますが、
いずれも速度超過が絡んでいるのではないか、という点については共通しているようです。
もっとも、鉄道では遅れが発生したために速度を上げて回復運転を行うのは珍しい事ではありませんが。
現場の300Rのコーナーは70km/h制限ですが、鉄道のコーナーの制限速度は
通過できる限界速度というよりは乗り心地を確保するためのもので、
振り子電車がコーナリングスピードを高く出来るのは、車両の特性上
コーナーに高速で突っ込んでも乗り心地を損なわずに済むからです。
振り子式ではない車両でも、乗り心地を無視してしまえば
ある程度制限速度を超えてもコーナーをクリアできます。
今回の事故現場は、鉄道総研の計算によれば133km/hまでは持ちこたえられるとのこと。
事故を起こした207系電車は運転最高速度120km/h、実際にはそれ以上出るかもしれませんが、
基本的に207系のような通勤型車両はギア比が加速寄りに振られているので
高速性能はそれ程ではないはず。よって今回の現場で133km/hを超える速度が出ていた可能性は
考えにくいような気がします。そこで置き石説が浮上しているわけですが、
専門家の話によれば今回線路上に残った粉砕痕から推測されるサイズの置き石では
脱線にいたる可能性は低いとの事。
確かに、脱線した前の車両が跳ね上げたバラストを後ろの車両が踏んだ可能性もあります。
要するに現時点では原因不明なわけですが、
そのような中で今日のTV報道で私が聞いて説得力を感じた説明としては、
日テレ系「きょうの出来事」に出てきた専門家が話していた説が挙げられます。
要約してみると、

コーナーには制限速度を大幅に上回る速度で進入したが、
そのまま通過すれば問題はなかった。しかし、今回の場合は
運転士がコーナーの途中でブレーキ、それも常用最大もしくは非常ブレーキをかけてしまったため、
ただでさえ通常より強い遠心力がかかっている車輪のフランジに
更に強い横方向の力が掛かり、それによって「乗りあがり脱線」を起こしたのではないか。

といった感じの内容。これ、車に例えると分かりますが、
コーナーにオーバースピード気味で侵入してコーナリング中にフルブレーキングした場合、
かなり挙動が不安定になります。車種にもよりますが、
大抵の場合はラインが膨らみがちになって止まるはず。
鉄道車両に車の挙動が当てはまるかどうかは知りませんが、感覚的には理解しやすいと思います。


今回のケースで問われるのは、運転士の資質という問題ではないでしょうか。
今回の運転士は過去にもオーバーランを起こしているし、
車掌時代にも処分された経験があるようです。
JR西日本は遅延やオーバーランなどに対するペナルティが厳しく、
あまりの厳しさに鬱気味になる運転士もいるとかいないとか…。
この23歳の運転士も、昨年のオーバーランで一度研修センターに戻されています。
おそらく、今回もそのような事態になるのを恐れて何が何でも遅延を取り戻そうとしたのでしょう。
しかし、そもそも11ヶ月間で2回もオーバーランするというのは運転士としてどうかと。
事故直前に無線で2回呼びかけても反応が無かったというし、
車掌時代には「目がうつろだ」と乗客から指摘された事もあったとか。
後者は言いがかりのように感じるかもしれませんが、
その職務のプロであるならば他の人が見て不安や不快感を感じるような外見であってはいけないと思いますし、
そういう意味では意識が足りなかったのではないかと思います。
例えば、医者がうつろな目してたら患者さんだって引くでしょ?
そういうわけで、鉄道マンとしてあまり
相応しい人間ではなかったのではないかという気がしないでもないです。
回復運転をするのは結構ですが、大惨事を引き起こしてしまっては…。
鉄道に限らず、航空、バスなどの会社はその乗り物を操る人間が
本当に相応しい適正を持っているのかどうかをより厳しく見極めていく必要があるように思います。
先月の土佐くろしお鉄道事故といい、鉄道への信頼がこのままでは完全に崩壊してしまいます。
今回の件についてはJR西日本の体質についても問われるのではないでしょうか。


それにしても、この事故の補償はどうするのでしょうか。
これを書いている時点で死者は56人、負傷者も400人以上。
さらに207系が突っ込んだマンションは柱がやられているらしいので
もう住めないでしょうから、ここのマンションの会社や住人にも補償が必要なはず。
そういえば207系に吹っ飛ばされたBMW X5とかもあるし、
沿線の設備などもかなり破壊してしまっているはず。
下手するとJR西日本の存続にも関わるような気がするのですが…。


最後に、お亡くなりになった方々とそのご遺族に心よりお悔やみ申し上げます。
また、負傷された方々の一日も早い回復と、
未だ救出されていない方々の一刻も早い救出をお祈りします。