新型エスティマ

トヨタのミニバン「エスティマ」が3代目にモデルチェンジしました。
トヨタ エスティマ | トヨタ自動車WEBサイト
新型はV6エンジンを従来の1MZ-FE型3リッターから
レクサスやクラウンアスリートに搭載されるものと基本を同じくする2GR-FE型3.5リッターに変更。
280psを発生するエンジンと6速ATを組み合わせた快速ミニバンの誕生?
エクステリアは従来のイメージを引き継ぎつつも大胆なディテールに。
インテリアはより高級志向?
トータルでは先代を更にグレードアップしたような雰囲気ですね。

エスティマへの思い入れ

さて、エスティマというのは実は私にとって結構深い思い入れがある車名だったりします。
というのも、我が家では初代エスティマを実に3台も乗り継いだからです。
といっても、いずれもリースだったのですが、
デビュー直後の最初期型、リアスポイラーなどが付いた最初の改良型、
そしてスーパーチャージャーが装着された最初のモデルと乗り継ぎました。


我が家は6人家族ですが、子供*1が幼い頃はメルセデス230TE*2
半ば無理矢理乗っていました。かれこれ16〜7年も前の話になります。
230TEには一応ラゲッジルームに後ろ向きに座るサードシートが用意されてはいましたが
どう考えても緊急用のシートであり、通常は5人用のスペースに6人。
居住性や安全性を考えると褒められた状況ではありません。
当時でもハイエースやタウンエース、キャラバン、デリカスターワゴンといった
キャブオーバータイプの1BOXで多人数乗れる車は存在しましたが、
これらの車はバンが基本のため操縦性や走行性能の面で
親父が求めるレベルには程遠い状態にあったらしく、
親父は頑としてこれらの車に手を出そうとはしませんでした。
かといって現在のように各メーカーから多種多様なミニバンが発売されている時代でもなく、
乗用タイプのミニバンはせいぜい日産プレーリーか三菱シャリオがある程度。
これらは逆にスペースが今ひとつだったようで、これもまた我が家の車になることはありませんでした。
そんな中、ほぼ同時期にトヨタからエスティママツダからMPVという
全く新しいミニバンが登場しました。
細かい経緯は覚えていませんが、親父はエスティマMPVを比較して
最終的にエスティマを選択しました。
そんなわけで我が家にやってきた「ミニバン」という新種の乗り物。
当時幼稚園児だった私は、それまで体験した事のない
広い室内と高い視点、斬新なスタイリングなどに一気に虜にされ
エスティマは私の一番のお気に入りの車になったのでした。


さて、当時はメカニズムの事など一切分かりませんでしたが、
後にこの初代エスティマはなかなか画期的な車だったことを知ります。
2.4リッターの直4エンジンを75度傾けて床下に搭載する、
フロントよりのミッドシップ方式を取る設計なのです。
この設計により、初代エスティマは広い室内空間と同時に
低重心・重量物中心配置のおかげで優れた運動性能を確保していたと聞きます。
思い出してみれば、初代エスティマは高速道路でもなかなか安定していたし、
山道でもスイスイとコーナーをクリアしていました。
これはエスティマ3台の後VWシャラン→エルグランドと乗り継いだ時に
ずっと助手席に乗っていた人間として子供心にも感じたことで、
シャランは高速の安定性が抜群でしたがフロントエンジンゆえにスペースに難があり、
エルグランドはボディが大きい分スペースこそ広かったものの
高速や山道ではややふらついて安定感に欠けていました。
エスティマがスペースも安定性も高いレベルにあったことを今更ながらに感じます。
親父がMPVではなくエスティマを選択した最大の理由も恐らくはこのパッケージングにあったと思われます。
他にも、豪華でこそないもののいい意味で簡素にまとめられた質実剛健なインテリアや
他のどんなミニバンよりも流麗だったエクステリアデザインなど、
今思い返しても、初代エスティマはその後に我が家で乗った
他のどんな車にも似ていない独特な世界を持つミニバンでした。


この後結局3台のエスティマを計7年にわたって乗り継ぎ、
私が幼稚園の頃から小学校を卒業する頃まで我が家には初代エスティマがいました。
我が家からエスティマが消えた後もしばらく初代エスティマの販売は続き、
かれこれ初代の登場から10年が過ぎようかというころにエスティマは2代目になりました。
2.4リッターの直4のみだったエンジンラインナップに3リッターのV6が加わり、
インテリアは一気に豪華になり、そしてエンジンの搭載位置はフロントに変わりました。
エクステリアは初代の面影を残しつつ現代的に仕上げていましたが、
私にとってそれはもう知っているエスティマではありませんでした。
内装が質素に見えても、エンジンが4気筒で多少騒がしくとも、
エクステリアに特別なキャラクターラインが走っていなくとも、
私にとっては床下にエンジンを積んだ卵形の初代こそがエスティマでした。
親父も同じ思いだったようで、結局2代目のエスティマには手を出さず
ライバルのオデッセイを選ぶことになったのですが…。


シャシーの使い回しが出来ない事や搭載できるエンジンが限られる事、
フロントエンジンよりフロアが高くなることもミッドシップをやめた理由でしょうが、
とにかく私にとって2代目以降のエスティマは同じ名前を持つ違う車です。
そんなわけで、3代目も「なんか違う」という思いが拭えないのでした。
きっといい車なんだろうとは思いますが…。
まぁいずれにしても今の私にミニバンは無縁なので(笑)

*1:私と妹

*2:W124型