皇室の御料車がモデルチェンジ

皇室関係のニュースなどで、天皇陛下がクラシカルなデザインの
大きな黒塗りリムジンにお乗りになっている映像を殆どの方が一度は見たことがある思います。
そのリムジンの名前は「日産プリンスロイヤル」で、1960年代にほぼ純国産の
皇室専用リムジンとして当時のプリンス自動車*1が技術の粋を結集して作った車です。
全長6.2m、全幅2.1m、全高1.8mという堂々たる体躯は
本当の「ロイヤル」リムジンとして相応しい風格をかもし出しています。
1967年以降7台が製作され*2、以来40年近くにわたって使われてきました。
ところが、製造から長い年月が経過しているため老朽化が懸念されるようになり、
希少な車でパーツもほぼワンオフであることから、昨年とうとう日産から
「万が一の場合にはもはや維持できない」という理由で使用中止要請が出ました。
しかしながら、代替車が無い状態では心許ないという事で、
今度はわが国最大の自動車メーカーたるトヨタが皇室専用リムジンを開発する事になりました。
トヨタの最高級車「センチュリー」をベースに開発された御料車、その名も「センチュリーロイヤル」。
試作車の写真も公表されているようです。
http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY200508310301.html
車体寸法はプリンスロイヤルとほぼ同一で、全体的なプロポーションも似ています。
しかしながらフロントマスクやサイドビューのデザインは明らかにセンチュリーのそれ。
ズングリムックリしたセンチュリーといった風貌で、あまりカッコいいとは言えないような…。*3
ともあれ、トヨタの品質は折り紙つき。特にセンチュリーはボディの塗装一つ取っても
通常の車の倍以上の手間をかけて漆器のような美しい塗装を実現しているので
このセンチュリーロイヤルも同等以上の品質を実現してくるに違いありません。
エンジンはおそらくセンチュリーに搭載されるのと同一の、
国産唯一のガソリンV12・5リッターエンジン。
エンジンのヘッドカバーの上に小銭を立てても倒れないという噂(笑)
トヨタの技術の粋を結集して作られるリムジンはどんな仕上がりになるのでしょうか。
さすがにハイブリッドシステムの採用はないのかな(笑)
それにしても、5250万円って意外に安い。てっきり1台1億位するのかと思ってました。
やはり基本コンポーネンツを流用できるベース車があるから安く上がるのでしょうか?


ちなみに、私はお台場の「メガウェブ」でセンチュリーに乗った事があります。
親父が運転手、私は左リアシートでふんぞり返る。*4これが正しいショーファードリブンの姿(笑)
まぁぶっちゃけ、つまらん車でしたよ(ぉ
静か過ぎるし乗り心地もやけに軟らかいし、
もはや車である事を自ら否定したがっている感すらありました。
ロードノイズとかエンジン音とか突き上げとか、車であれば多かれ少なかれあるはずの要素を
全て抹殺したような室内空間は一種独特、薄気味悪さすら感じるほど。
自動車を趣味にする人間には物足りないことこの上ない車なのでした。


脱線しましたが、とにかく日本を象徴する車の一台だったプリンスロイヤルは
まもなく表舞台から去ることになるわけで、少し寂しいような気もします。
一応1台は保存されるそうですが、残りはどうするんでしょうか?

*1:1966年に日産に吸収合併

*2:うち1台は霊柩車仕様

*3:もっとも、プリンスロイヤルのフロントデザインも当時のグロリアの流用ですが

*4:まだ免許無かったからね