GODDAMN

近所の古本屋に何気なく立ち寄ってみたところ、
新谷かおる氏のラリー漫画「ガッデム」の単行本全5巻セットが
500円にて売られているのを発見。
相場はいくらなんだか知りませんが、前から探していた漫画だったし
全巻そろっているというのも魅力的だったのでゲットしときました。


WRCが舞台の物語で、主人公の日本人と新興ラリーチームの奮戦を描いたもの。
連載開始が1988年の漫画なので、サファリがカレンダーに組み込まれていたり
トヨタ*1ランチアが強豪チームとして現役だったり
WRカー規定がなくグループAがメインだったりと、
描かれる内容には現在のWRCとは少なからず違いがありますが、
ラリーという競技の大体の理解には結構いいかもしれません。
サーキットで行われるレースとは違う、WRCならではのスリルや駆け引きなどが
上手く描写されていて、読み進めるごとにハラハラさせられます。
また、ラリーだけでなく企業戦略とかも絡めたストーリー展開で面白いです。
打ち切りだったのかどうかは知りませんが、終盤の展開がやや駆け足気味だったのが
もう少し時間をかけて描かれていればより良かったような気もしますが…。
もともとラリーを題材にした漫画は殆どありませんし、
ラリー好きな人だったらとりあえず読んでみてはいかがでしょうか。
80年代終盤〜90年代初期くらいのWRCを思い出して懐かしむのにもよさそうですし(笑)


ところで、車漫画といえば主人公が乗る車も当然気になるところです。
物語の冒頭で主人公はランチア・デルタ・インテグラーレを駆り、
その後契約テスト時にプジョー205ターボ16市販バージョン、
最初に契約した新興チームではフォード・シエラRSに乗ります。
ここまでは実車なのですが、その後日本の「三沢自動車」という架空の自動車メーカーと
契約した主人公は、同社の「ラレード」*2や「レベッカ*3といった
架空のマシンを駆ることになります。普通乗用車市場に参入したばかり*4
自動車業界でもラリーでも弱小なミサワですが、
車、そしてラリーにかける真剣な思いは強く描かれています。
終盤は逆境ナインならぬ逆境ラリーチームかってくらいに色々なピンチに遭います(笑)
そこからの脱出もまたドラマの見所になっているわけですけどね。


ちなみに、新谷かおる氏は数年前にヤンマガGTに「NAVI」という
凄腕ナビゲーター*5が主役のラリー漫画を描いていました。
こちらも単行本全1巻が発売中です。「NAVI」の方は「ガッデム」に比べて
ややリアリティを削ってファンタジックな要素も盛り込んであるようですが、
いずれにしても新谷氏、ラリーが好きなんですね。
この「NAVI」にもミサワはちょっとだけ出てきます。
ガッデム (1) (MF文庫)
Navi (ヤングマガジンコミックス)

*1:しかもトヨタのマシンはセリカGT-Fourじゃなくてスープラ

*2:どう見ても当時のダイハツシャレード

*3:当時のシビックハッチバックにリトラクタブルライトを付けたようなデザイン

*4:という設定

*5:主人公は「コ・ドライバー」ではなく「ナビゲーター」であることにプライドがあるらしい